2026年10月に相次いだ個人情報漏えい事件のまとめと、個人ができる対策

2026年10月の情報漏えいまとめと、今日からできる対策

「うちは規模が小さいから狙われないだろう」。個人事業主や中小企業のオーナーさんから、こうした声をよく聞きます。ですが2026年10月は、国内で個人情報の漏えいや不正アクセスの公表が相次いだ月でした。

この記事では、10月1日から19日までに組織自身が公式に発表した主な事件を整理し、そのうえで「個人が今日からできること」を、ITに詳しくない方にも分かる言葉でまとめます。

※本記事は2026年10月19日時点で確認できた公式発表に基づいています。件数や原因は調査中のものが多く、今後の発表で内容が変わる可能性があります。

目次

2026年10月に公表された主な事件

いずれも各組織の発表内容を要約しています。「調査中」「可能性」の段階のものは、その表現のまま記載しています。

1. 戸田建設:取引先・従業員の情報について漏えいの形跡(10月7日公表)

  • 何が起きたか:取引先への支払いを管理するシステムへの外部からの不正アクセスを10月5日に検知しました。調査の結果、10月1日から5日の間に情報漏えいの形跡が確認されたと公表しています。
  • 漏えいした可能性のある情報:取引先担当者のメールアドレス(最大7,200件)、取引データ(最大6,000件)。従業員の氏名・住所・電話番号・メールアドレス・所属部署(4,778名分)。
  • 現在の状況:対象システムは通信を遮断し、個人情報保護委員会への報告は済んでいます。漏えいした情報が公開された事実や不正利用は確認されていないとしています。侵入経路や原因は調査中です。
  • 出典:戸田建設「個人情報漏洩に関するお知らせとお詫び」

2. IDCフロンティア「IDCFクラウド」:第三者による不正アクセスで障害(10月7日〜)

  • 何が起きたか:10月7日午前3時40分頃から、クラウドサービス「IDCFクラウド」で「第三者からの不正アクセスによる障害」が発生しました。影響を受けたのは495の企業・自治体です。
  • 情報漏えいの有無:10月14日の第5報では、外部へのデータ流出はなかったと判断したとしています。一方で、「IDCFクラウドポータル」では48社の登録情報に対して不正な照会が行われ、そのうち2社の登録メールアドレスには担当者の個人名を含む可能性があるものが含まれていたとしています。
  • 現在の状況:影響を受けたゾーン以外のサービスは引き続き利用できるとしています。第5報(10月14日)の時点では、スナップショット機能を利用していた194社について、バックアップデータの取り出しが可能だと確認したとしています。
  • 10月18日の第6報:「IDCFクラウド バックアップ」は、安全性の確認が完了したとして提供を再開したと発表しています。一方、スナップショット機能は安全性の確認のため、引き続き提供を停止しているとしています。
  • 出典:IDCフロンティア「【第6報】バックアップサービスの提供再開について」(2026年10月18日)、同「【第5報】不正アクセスによる障害に関する調査の進捗について」(2026年10月14日)(初報は2026年10月7日のお知らせ)

3. マウスコンピューター:メールアドレス約42万件が漏えいの可能性(10月14日公表)

  • 何が起きたか:メールマガジン配信業務を委託している事業者から、メールマガジン配信機能の一部で利用している株式会社IDCフロンティアのクラウド基盤において、不正アクセスが発生したとの報告を受けたと公表しています。委託先の事業者名は明記されていません。前項のIDCFクラウドとは、同じIDCフロンティアのクラウド基盤に関する件です。
  • 漏えいした可能性のある情報:約42万件のメールアドレスと、2026年9月5日から10月6日までの、そのアドレス宛てのメール配信記録です。
  • 現在の状況:現時点で顧客情報が漏えいした事実は確認されていないとしています。オンラインショップの注文・決済情報は、対象のクラウド基盤には保存していなかったとしています。メールマガジンの配信は一時停止中です。
  • 出典:マウスコンピューター「メールアドレス漏えいの可能性およびメールマガジン配信の一時停止について」

4. 日本経済新聞社:開発用クラウドへの不正アクセス、約183万件(10月16日公表)

  • 何が起きたか:開発に使う外部クラウドサービスのアクセス用認証情報が何らかの手段で窃取され、10月7日未明から朝にかけて不正アクセスを受けたと公表しています。
  • 漏えいした可能性のある情報:合計約183万件です。そのうち、氏名・メールアドレス・住所・電話番号・生年月日のいずれかを含む情報は約15万件(メールアドレスを含むものは約12万件)、残りの約168万件は個人を単独で特定できない識別子のみだとしています。クレジットカード情報は含まれていないとしています。
  • 現在の状況:10月11日に個人情報保護委員会へ報告しました。不正利用された認証情報は無効化済みで、16日時点で二次被害は確認されていないとしています。侵害の範囲は精査中で、漏えいが確認された人には個別に通知する予定だとしています。
  • 出典:日本経済新聞社「不正アクセスによる情報漏洩について」

5. 大阪公立大学:情報基盤システムの大規模障害(10月2日〜)

  • 何が起きたか:10月2日未明に情報基盤システムで大規模障害が発生したと発表しています。10月8日の第4報では、原因の調査と復旧作業を継続中としています。
  • 情報漏えいについて:公式の第4報(10月8日)には、原因や個人情報の流出についての記載はありません。報道によれば、サイバー攻撃の可能性や、一部の個人情報が流出した恐れがあると伝えられていますが、大学の公式発表では確認できていません。
  • 現在の状況:10月9日から全キャンパスで対面授業を再開するとしています。
  • 出典:大阪公立大学「本学情報基盤システムにおける障害の発生について【第4報】」

5件に共通して見えること

目立つのは、委託先やクラウドサービスを経由した被害です。マウスコンピューターの件は、委託先が使うIDCフロンティアのクラウド基盤が起点とされています。日本経済新聞社の件は、クラウドへのアクセス用の認証情報が盗まれたことが公表されています。どれだけ自社の守りを固めても、取引先やサービス事業者の管理が甘いと、自社の情報が外に出てしまう。これが今の現実です。

だからこそ、個人や中小企業が「自分の情報が、どこに預けられているか」を把握しておくことが、最初の一歩になります。

個人ができる対策

ここからは、被害を受けたときに慌てないための基本を、今日からできる順番でまとめます。

1. パスワードの使い回しをやめる

同じパスワードを複数のサービスで使っていると、どこか一つから漏れたときに、そのパスワードで他のサービスにも次々にログインされてしまいます。これを「パスワードリスト攻撃」といい、実際によく起きています。

  • まずは、メール・銀行やクレジットカード・ネット通販・SNS・仕事で使うクラウドサービスから順に、サービスごとに違うパスワードに変えましょう。
  • パスワードは長めで、名前や誕生日など推測されやすいものを避けてください。
  • 全部を覚えるのは大変です。パスワードを安全に保存・管理できる仕組み(パスワード管理ツールやブラウザの保存機能)を使うのも一つの方法です。ただし、その場合は端末のロックとそのアカウント自体のパスワードをしっかり守ることが前提です。

2. 二要素認証(2段階認証)を設定する

二要素認証とは、パスワードに加えて、スマホに届くコードや認証アプリの番号など、もう一つの確認を求める仕組みです。パスワードが漏れても、ほかの人がログインするのを防げます。

  • 設定は、メール、SNS、ネットバンク、業務で使うクラウドサービスから始めるのがおすすめです。
  • 「認証コードを教えてください」と電話やメッセージで言われたら、それは詐欺の可能性が高いので応じないでください。

3. 「情報が漏れたかもしれない」と言われたら、まずやること

  1. 届いた連絡が本物かを確認する:メールやSMSのリンクからは進まず、利用しているサービスの公式サイトやアプリを、自分で開いて確認してください。
  2. パスワードを変更する:対象のサービスのパスワードを変え、同じパスワードを使っていた他のサービスも変更してください。
  3. カードや銀行の明細を見る:身に覚えのない利用や請求があれば、すぐにカード会社や銀行に連絡してください。
  4. 不審な連絡に注意する:「パスワードの再設定が必要です」「未払いがあります」といった、不安をあおる連絡が増えることがあります。リンクを開く前に、一度立ち止まってください。

4. フィッシング(なりすましの連絡)の見分け方

フィッシングとは、実在する企業や銀行をよそおって、IDやパスワード、カード番号などを入力させようとする手口です。今回のように情報が漏れた後は、漏れた情報を使った、もっともらしい連絡が届く可能性があります。次の点をチェックしてください。

  • 「至急」「アカウントを停止します」など、急がせる言葉が使われている
  • 送信元のアドレスやリンク先のアドレスが、いつもの公式のものと少し違う
  • メールの中で、ログインしたうえでカード番号や暗証番号の入力を求めている

迷ったときは、リンクを押さず、普段から使っている公式アプリやブックマークから直接アクセスしてください。

5. 自分の情報が漏れていないかを確認する方法

「自分の情報が流出したかどうか」を、個人で正確に確認する公的な仕組みは、今のところ基本的にありません。そのため、次のような信頼できる情報源で確認するのが現実的です。

  • 利用中のサービスの公式お知らせページ(ログイン前に見られる場所)
  • 報道や公式発表で、自分が使っているサービスや取引先が対象になっていないか
  • 不安が解消しないときは、IPA(情報処理推進機構)の情報セキュリティ安心相談窓口や、警察の相談窓口(#9110)

「無料で流出を確認できます」「今すぐ対応しないと被害が出ます」といった案内に、個人情報の入力を求められた場合は注意してください。

事業者として見直したい点(社内のPC・アカウント)

個人事業主や中小企業では、社員や業務委託先のアカウントが、事業の「入り口」になりやすいものです。次の点を一度見直してみてください。

  • 退職者・異動者のアカウントを、いつ止めたかが分かるようにする。共有アカウントを減らす
  • 業務で使うクラウドサービスに、二要素認証を設定する
  • 委託先や取引先と共有しているフォルダやツールで、誰がどこまで見られるかを確認する
  • データのバックアップは、普段使っているパソコンやサービスとは別の場所にも保管する。今回の大きな障害でも、事業者が利用者にバックアップの取得を呼びかける場面がありました

まとめ

  • 2026年10月の事件は、自社だけでなく、委託先やクラウドサービスを経由して起きたものが目立ちました。
  • 個人でまず取り組むことは、「パスワードの使い回しをやめる」「二要素認証を設定する」の2つです。
  • 情報が漏れたと言われたら、リンクからではなく公式の情報で確認し、パスワードとカードの明細を見直す。慌てずに、順番に対応してください。

StudioAKでは、Webサイトやシステムの見直し、社内で使うツールの整理など、「何から手をつければいいか分からない」という段階からのご相談を承っています。小さな組織だからこそ、無理のない範囲で続けられる対策を一緒に考えます。

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出典(組織の公式発表)

  • 戸田建設「個人情報漏洩に関するお知らせとお詫び」(2026年10月7日) https://www.toda.co.jp/news/2026/20261007_006350.html
  • IDCフロンティア「【第5報】不正アクセスによる障害に関する調査の進捗について」(2026年10月14日) https://www.idcf.jp/news/topics/20261014001
  • マウスコンピューター「メールアドレス漏えいの可能性およびメールマガジン配信の一時停止について」(2026年10月14日) https://www2.mouse-jp.co.jp/ssl/user_support2/info.asp?N_ID=535
  • 日本経済新聞社「不正アクセスによる情報漏洩について」(2026年10月16日) https://www.nikkei.co.jp/nikkeiinfo/news/information/1561.html
  • 大阪公立大学「本学情報基盤システムにおける障害の発生について【第4報】対面授業再開のお知らせ」(2026年10月8日) https://www.omu.moe/news/2026-10-08-c5873744.html
  • IDCフロンティア「【第6報】バックアップサービスの提供再開について」(2026年10月18日) https://www.idcf.jp/news/topics/20261018001
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