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One to Oneマーケティングで顧客に合わせたアプローチを

One to Oneマーケティングお客さんは十人十色、ニーズや趣味嗜好は多種多様です。
従来型のマスマーケティングで、不特定多数のユーザーやすべての顧客に同じ情報を発信するままでいいのでしょうか?
当然同じ内容でも、心に響く人と響かない人がいるので、全体のレスポンス率はどうしても下がってしまいます。
 

でもお客さんが何を欲しているかの傾向を知ることができたらどうでしょうか?
現在は顧客情報のデータ化が進んだためその傾向を掴むことも、1人1台のモバイル端末に向けたユーザーごとのアプローチをすることも可能になりました。
これがOne to Oneマーケティングです。
 

企業目線では無駄なアプローチをせずに済むためコスト削減につながり、顧客目線でも自分に関係のない情報を目にする煩わしさがなくなり、双方にとって良い形と言えます。
せっかくユーザーに会員登録してもらって一生懸命メルマガを配信しているのに「興味のないメルマガが多いから退会します」と言われたら悲しいですもんね。
 

このOne to Oneマーケティングは、顧客動向から購買予測を立てて効率的に販売促進アプローチを行なうという短期的目標にも、顧客との良好な関係を継続させて1顧客が企業にもたらす総利益「顧客生涯価値(Customer Lifetime Value)」を最大化するという長期的目的にも有効です。
 

とはいえ顧客を分析をするにもアプローチをするにも、元となるデータがないと始まりません。
必要なのは、BtoBビジネスの場合はの営業管理システムであるSFA(Sales Force Automation)、BtoCビジネスの場合は顧客管理システムであるCRM(Customer Relationship Management)などで集計される顧客属性データや購買履歴データ、GoogleアナリティクスやヒートマップツールによるWebアクセスログや行動解析データなどです。
 

そこに蓄積されたデータを分析し、顧客属性、趣味嗜好傾向、購買行動など、基準となる分析方法に基づいた属性の1かたまり(セグメント)をつくり、そこに顧客を分類していくことで、1かたまりの顧客集団(クラスター)ができます。
ワントゥワンということなので顧客1人に向けた1アプローチができることが望ましいのですが、現実的な運用を考えると実際にはこの1クラスターに向けた1アプローチという形となります。
 

ではこのOne to Oneマーケティングにどのような顧客分析手法があるのかと、そのアプローチ方法を見ていきましょう。
 

顧客の分析手法

自社の顧客を分類するのに適した1セグメントを設定するというような、大量データから相関関係やパターンを見つけ出すことをデータマイニング(データ発掘)といいます。
このデータマイニングには、起きた現象ありきで後から法則を見い出すタイプと、仮説や分析手法ありきで後から起きた現象を分類するタイプの2パターンがあります。
前者のタイプは膨大なデータ分析が必要なため、人工知能による機械学習で行われるようになってきました。
膨大データの分析もAIの導入もなかなかハードルが高いので、まずはすでにある手法を使って分析してみましょう。
 

属性分析

デモグラフィック

性別、年齢、学歴、職業、所得などの違いで分類される人口統計学的属性による分析方法です。
 

サイコグラフィック

値観、信念、趣味趣向、購買動機などの違いで分類される心理学的属性による分析方法です。
 

ジオグラフィック

居住地域の違いで分類される地理学的属性による分析方法です。地域による特有の文化や都市の発展度などが影響します。
 

ビヘイビアル

商品購入、Webサイトへのアクセスなど、ユーザーの行動の違いで分類される行動学的属性による分析方法です。
 

RFM分析

顧客購買履歴からRecency(最新購入日)、Frequency(購入頻度)、Monetary(購入金額)の3つをそれぞれランク付けし、総合的な点数で顧客をセグメント化する分析方法です。
状況により一定期間を設けてランク付けする場合と、LTV(Life Time Value)の観点から取引期間全体の累計購入数や購入金額でランク付けする場合があります。
この分類によって例えば高ランク層には継続利用を、中ランク層にはランクアップを促すようなアプローチ(定期購入者への特典など)を行ない、低ランク層には全く別のアプローチ(一定期間未購入者への特典など)を行うといったことができます。
 

CTB分析

顧客購買履歴からCategory(商品分類のカテゴリー)、Taste(色やサイズなどのテイスト)、Brand(ブランド)の3つのセグメントを総合的に組み合わせ、自社顧客の傾向をプロファイリングする分析方法です。
例えば30代の女性というデモグラフィックの属性でも、生活環境により購入する商品の傾向が異なります。
独身の場合、自分のファッション関連商品を買う層と、ファッションへの関心度が低く生活用品だけを買う層がいます。
上記に加えて男性用の雑貨や家具などを買う層は、同棲中や新婚などの層と想定されます。
子供のものと生活用品が中心の専業主婦層や、自分のファッション関連商品と子供のもの両方を買う働く既婚女性層もいます。
サイズの大きい女性用や男性用の衣類を買う層は、子供が自分のものは自分で買う年齢になった既婚女性層と想定される、などの分析です。
 

デシル分析

デシルとはラテン語の「10等分」の意味で、購入金額の高い順に顧客を並べ、上から10分の1ずつにセグメント化する方法です。
例えば1,000人の顧客の累計購入額のデシル分析をする場合、まず累計購入額が高い順に並び変えてから、100人ずつのセグメントに分けます。
そして100人ごとの合計購入金額が、全体の累計購入金額の何パーセントを占めているか計算します。
一般的には「売り上げの80%は上位20%の顧客が生み出している」というパレートの法則があてはまると言われていますが、実際の自社の傾向を知ることで、どのセグメントに向けた施策を行うと効果的であるかの判断材料となります。
 

One to Oneアプローチ

既存顧客へのアプローチ

顧客を分析してカテゴライズしたあとは、自社ビジネス内容に合った方法が何であるか、5W1Hに従ってシナリオをつくりアプローチします。
つまり自社の製品・サービスを、Who(どのクラスターに向けて)、Why(何の効果を得るために)、What(何の施策を)、When(どのタイミングで)、Where(何のチャネルを使って)、How(どう告知するのか)です。
 

顧客への情報告知手段は、DM送付、メルマガ配信、自社アプリのPUSH通知など自社メディアがどれだけあるかによって異なります。
自社SNSアカウントは情報告知手段の1つとして使うだけでなく、顧客との繋がり(エンゲージメント)を高めることで、顧客を維持する手段としても注目されています。
 

またMA(Marketing Automation)ツールやDMP(Data Management Platform)ツールは、ユーザー情報分析とメルマガ配信などのアプローチをまとめて自動管理できるため、導入する企業が増えています。
 

新規顧客を含めたアプローチ

One to Oneマーケティングの考え方を使えば、まだ顧客情報を得ていない新規ユーザーを含めたアプローチも可能ですが、その入り口には広告を使うことが多いため、既存顧客に向けたアプローチよりもコストがかかります。
 

LPO(ランディングページ最適化)

検索連動型広告であるリスティング広告やコンテンツマーケティングと組み合わせて使われることが多いランディングページ(LP)ですが、これもOne to Oneマーケティングの1つといえます。
ウェブサイトのトップページ自体は、色々な目的の人が来ることを想定し、すべての情報を横並びで配置することが基本ですが、その分目的地に辿り着くまでが長くなってしまう場合があります。
 

そこで活用されるようになったのがLPです。
検索キーワードに合わせて最初に表示するページの内容を変えることで、目的に合わせた複数の入り口をつくることができ、ユーザーは目的まで一直線に辿り着くことができるのです。
LPはアクセス解析の結果やA/Bテストなどで、離脱率が低く成約率の高い構成やデザインが何であるかの検証を繰り返し、最適化を図ることが重要です。
 

リターゲティング広告の活用

一度訪れたサイトの広告が、ユーザーのあとを追いかけるように表示されるのがリターゲティング広告です。
「サイトに訪問した=興味がある」という認識で広告が繰り返し出てくるわけですが、ここでもユーザーのセグメント分けが有効です。
 

例えばトップページしか見ていないのか商品詳細ページまで進んだのか、商品をカートに入れたのか入れてないのか、商品を購入したのかしてないのか、商品は何を買ったのか、などユーザーの行動に合わせて広告内容を変えることができるからです。
 

またサイト訪問から時間がどれだけ経過しているか(リーセンシー)に合わせた広告表示期間や、1人あたりの広告表示回数(フリークエンシー)の設定は、商品の特性や過去の傾向から考える必要があります。
期間が空くほど興味が薄れる商品もあれば時間をかけて検討する商品もあり、だからといって広告があまりにしつこいと商品に悪いイメージを持たれてしまうからです。
 

レコメンド機能の設置

AmazonをはじめとするECショップサイトでよく使われるのがレコメンド機能です。ユーザーに合わせたさりげないおすすめの仕方が、従来のマスターゲット広告よりも購買に繋がると言われています。その機能には以下の4つの種類があります。
 

ルールベース

「商品A購入者には、商品Bをレコメンドする」のように決められたルールに従っておすすめする。
 

コンテンツベース

「カテゴリAの商品B購入者には、カテゴリAの商品をレコメンドする」のように関連性に従っておすすめする。
 

協調フィルタリング

「商品Aを買った人は、商品Bも買っています」のようにユーザー行動履歴の類似性に従っておすすめする。
 

ベイジアンネットワーク

「〇〇ではありませんか?」のように上記を総合的に判断し、購入確率の高い商品をおすすめする。
 

顧客からもOneと認識してもらおう

顧客にはお試しだけのライトユーザーから、何度もリピートしてくれるヘビーユーザー、周りの人に積極的に宣伝してくれるファン層まで、色々なお客さんがいます。
企業側から見ればたくさんいる顧客の中の1人ですが、全員に同じ対応をするのではなくできるだけ個別の対応をしましょうね。というのが今回のOne to Oneマーケティングのお話でした。
 

でも企業側が顧客のセグメント化やターゲティング戦略をいくらがんばって考えても、顧客側が自社のことを数ある製品・サービスの中の1つと認識したままだと、なかなか声が届きにくいかもしれません。
 

まず自社のことを顧客から「One」と認識してもらうことも重要です。
それはナンバーワンなのか、オンリーワンなのか、どちらでもいいと思います。
 

個人商店や中小企業じゃそんなの難しいよと感じるかもしれませんが、それは大きい土俵で勝負をしているからではないでしょうか?
対象とする市場の規模をどんどん小さくしていくと、ニッチだけど自社が1番や唯一の存在になれる場所がきっと見つかるはずです。
その場所でお客さんと末永くお付き合いを続いていけるようにがんばっていきたいですね。
 

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